このたび、最大限協力いただける症例に巡り合うことができました。46歳、女性です。
但し、ご覧いただけますように開瞼は正常範囲内です。眼裂縦径は8mm、MRDは2mm以下。挙筋筋力(挙筋滑動距離)は計測していませんが、上方視からすると12mm以上の正常値と考えられます。よーく見ると、眉の下に白い線が見えますよね。数年前に眉下切開による皮膚切除を受けられているのですが、その後の経過中で皮膚の弛緩が再発したため、これを治したいとのご希望でした。
今回、フェニレフリンテストの有用性を、画像的にお示しすることも適いました。フェニレフリンテストとはこれまでにも御説明しましたが、点眼だけで、一時的にミューラー筋を強化することが出来、腱膜性眼瞼下垂の症例では、正常な開瞼になるので、眼瞼下垂症の患者さんを鑑別出来るのです。テストで以下の3パターンとなります。
1:先天性=Fe.テストで改善しない。2:後天性=腱膜性(コンタクトレンズ性や、摩擦癖性)では改善し、正常化。3:先天性に後天性が加わった症例=後天性の要素の分だけが挙がり、先天性の要素の分は挙がらない。
そして、フェニレフリンテストの結果が、切らない眼瞼下垂手術の結果にほぼ一致するので、患者さんに結果予想を示すことが出来るので、安心感があるのです。点眼して数分後に検査結果が出ます。約1時間後には、効果が戻ります。
さて症例に戻ります。右に点眼して1分後:腱膜性の眼瞼下垂は大人なら多少に関わらず存在します。このケースではごく軽度ですから、テスト後の左右差は小さいですね。でもありますね。右の方がわずかに瞼縁が挙がっていて、白目が見えかけています。今回は皮膚性の眼瞼下垂であることを示しています。
そこで皮膚性の眼瞼下垂を切らない手術で治せるか?、二重を広げてみるだけだとどうなるか?。下図の様に二重棒(=医療用具でブジーといいます。)を当ててシミュレーションしてみると、皮膚だけ持ち上げると瞼縁が相対的に下がって見え、いわゆる眠そうな目になります。だから、切らない眼瞼下垂手術を加えるべきなのです。右のフェニレフリンテストを行った側は、瞼縁が挙がっているので、シミュレーションしてみると眠そうに見えませんでした。残念ながら、写真は取り損ないました。
切らない眼瞼下垂手術はNILT法といいます。まぶたの裏の結膜とミューラー筋と挙筋腱膜を縫い寄せて、腱膜性眼瞼下垂状態を治し、さらにその糸を表に通して、重瞼線を作るという便利な手術です。表裏の引き締めバランス調整に集中力を要する面白い手術です。
例によって、モニター症例では片側から提示します。下左図は左眼瞼の施行後:差が見えますよね。下右図は、右施行後。両側のバランスもいいでしょう。よく見ると、どちらもまだ糸を埋め込む前ですから、ぶら下がっています。いわゆる埋没法の一種ですから、糸を埋めて出来上がりとなります。
下図は約1時間後:若干の腫脹を生じています。
下左図は翌日:メイクはもちろん可能です。若干の腫脹はあります。午前中は誰でも顔が浮腫んでいるでしょ。下右図は、夕方にも撮影させていただきました。夕方の方がむくみが取れて、開きやすくなっているようです。
しかし術翌日の像は綺麗な目元でしょう。外人やハーフとまでは言いませんが(タキクリと競うつもりはありませんが・・。)日本人の目元としてはかなりのハイレベルといえますよね。綺麗な方から100人並べたら、上から20人以内に入ると思いますよね。46歳ですよ。こんなはっきりした目元の46歳なんてめったにいないでしょう。可憐さまでも備えているかもしれません。
1週間後も提示する予定です。その際に切らない眼瞼下垂手術の仕組みに付き詳しい説明を添えます。